6月5日(日曜日)に横浜市立大学 金沢八景キャンパスにて、ブロンテ・デイ公開講座が開催されました。
渡千鶴子関西外国語大学教授の司会のもと、海老根宏東京大学名誉教授による開会の辞に続き、白井義昭日本ブロンテ協会会長の挨拶で開幕しました。
皆本智美摂南大学准教授による「シャーロット・ブロンテと非日常」」と題した講演は、ジェイン・オースティンの小説が「普通の人々や場所や出来事ばかり出てくる」のに対し、シャーロット・ブロンテの小説には「非日常」的な要素が見られることに注目し、シャーロット自身のロンドン訪問やブリュッセル滞在などの「非日常」的な体験とあわせて考察をしたものでした。
木村晶子早稲田大学教授による「海の彼方の『ジェイン・エア』――アメリカとカリブ海における受容と展開」と題した講演では、John SeelyeがJane Eyre’s American Daughters (2005)において『ジェイン・エア』の影響を受けたアメリカとカナダの作家としてあげている作家の中でも、特に影響が強かったのが『若草物語』で知られるルイザ・メイ・オルコットだとして、その生涯と作品の両方の面で、シャーロットとオルコットの比較がなされました。また、『ジェイン・エア』の翻案である『広い藻の海』を創作したジーン・リースの生涯と文学についてのお話もありました。
その後、内田能嗣顧問による閉会の辞で、盛会のうちに幕を閉じました。
参加者は52名で、そのうち半数は横浜市民の方や一般のイギリス文学の愛好者の方々でした。ご参加いただいた皆様には、昨年10月に行われました日本ブロンテ協会設立30周年記念大会の特別展の内容を記録したパンフレットをお持ち帰りいただきました。
講座を共催し、会場をご提供いただきました横浜市立大学の関係者の皆様には心よりお礼申し上げます。