2014/04/09

ブロンテ・ファンの皆さまへ


思わぬところで『嵐が丘』に出会ったのでご報告します。2008年以来11年の刑で服役中のノーベル平和賞作家で詩人の劉暁波(リュウ・シャオポ)の詩集『牢屋の鼠』(書肆侃侃房 2014年)です。

「エミリー・ブロンテと僕たち――僕の「嵐が丘」の朗読を聞く霞へ」という詩は、彼の妻も彼も愛読する『嵐が丘』とエミリーと妻への思いを歌った詩で、〈一つの英語の発音が/僕の歯と歯の隙間で祈る/一つの漢字の形状が/あなたのペン先で挽歌を歌う〉と始まり、〈エミリーは我々に教える――/燃え尽きてしまうほどの言葉で/死を語りあうことなどできはしないと〉と歌っています。

他にも二編の詩で『嵐が丘』に言及しています。他にも妻を「世界を深く刺すナイフ」にたとえる詩などじっくりと読まずにはいられない詩がたくさんあり、詩の言葉は深く遠くまで届くということを教えてくれる詩集です。あわただしい新年度、深々と呼吸したくなったら、ぜひお読み下さい。

                               (大田美和)