記憶と幽霊─『嵐が丘』における幻影としての第一世代キャサリン
Anne Brontëの絵画をめぐる一考察
海老根宏東京大学名誉教授「英国小説と私─近刊の拙著から」
シンポジウム:
「『シャーリー』を読み直す」
発題者:石井麻璃絵
発題者:杉村藍
司会・発題者:田村真奈美
日本ブロンテ協会の公式ブログです。 会員の皆様、非会員の皆様にも、ブロンテに関する情報を発信し、気軽に交流していければと思います。よろしくお願いします。 日本ブロンテ協会ホームページ(http://brontesociety.jp/)や日本ブロンテ協会Facebookページもよろしくお願いします。
中道敏行先生(非会員、大阪学院大学非常勤講師)より、Anne Brontëに関する新刊およびAgnes Greyに関するJane Suderland氏(formerly at Lancaster University)の論文のご紹介です。
Jane Sunderland’s new essays on Anne Brontë’s Agnes Grey focus on “governess” as a Victorian women’s occupation and “dog” as a pet or fictional character.
Essay 1
Agnes Grey as a Mid-Nineteenth-Century Governess’s Life: Anne Brontë’s Narrative, Documentation, and Critique
“Why did many women in the nineteenth century become governesses, and what was life like for them? Is Agnes Grey a representative portrayal – and to what extent does it reflect Anne Bronte’s own governessing experiences?”
Essay 2
Anne and Agnes; Flossy and Snap: Fact and Fiction
“What was Anne’s dog Flossy like, and what were his contributions to the Brontë novels? We know a little about him from Anne’s and Emily’s artwork and from mentions in letters and accounts…. And given the many similarities between Agnes Grey and the events of Anne’s life … we can cautiously infer more about Flossy from Anne’s first novel”
In Walking with Anne Brontë: Insights and Reflections, ed. Tim Whittome (2023)
Dr Jane Sunderland
6月3日(土)14:00〜16:10 2023年ブロンテ・デイ公開講座が早稲田大学戸山キャンパにて開催されました。
鈴木美津子東北大学名誉教授によるご講演「仕事を持つ女たち──『自制』のローラ、『オドンネル』のシャーロット、『ワイルドフェル・ホールの借家人』のヘレン」と、山内理惠神戸市看護大学教授によるご講演「異国の地で監禁される妻―『ジェイン・エア』のバーサ・メースンの体験を考察する―」が行われました。
今年度より新しく早稲田大学が会場となり、また2019年度以来久々に4年ぶりの対面式での公開講座となりました。台風の影響が心配されましたが、当日は68名の方にご参加いただき盛況のうちに終了いたしました。早稲田大学の学生さんも多く参加され、大変実りある講座となりました。素晴らしい会場を手配くださった公開講座委員の先生方を始め、関わってくださったすべての皆様に心より御礼申し上げます。来年度も同会場で開催予定です。
2009年と2012年に松たか子主演で上演されたミュージカル「ジェーン・エア」が、上白石萌音と屋比久知奈のダブルキャストで、新たな演出を加えて上演されます。
2023年3月11日~4月2日:東京芸術劇場プレイハウス
4月7日~13日:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
詳細は https://janeeyre.jp/ でご確認ください。
現代詩の総合商業詩誌『詩と思想』9月号の特集ジェンダーの座談会「ジェンダーを軸に考える」に参加して、シャーロット・ブロンテの『ジェイン・エア』がフェミニズムと植民地の問題をつなぐ作品であること、エミリ・ブロンテの『嵐が丘』のヒースクリフの復讐と家父長制、アン・ブロンテは姉妹の中で一番のフェミニストであることなどの指摘を行いました。
座談会の話題は、ジャーナリズム、マスコミ、教育、信仰、正義、言語と文学など多岐にわたっています。ブロンテ姉妹への言及は、『嵐が丘』の「私はヒースクリフなの」というキャサリンの言葉について高校の先生が熱く語ったことが今も忘れられないと、座談会で語った詩人の青山いさおさんに対する応答でした。ブロンテたちの言葉の力の大きさをあらためて知る機会になりました。